しぶコン代表:玉井 美歌男

Tamai Mikao 気質プロフィル

TV、ラジオのキャスター、アナウンサーとして社会人修行を務める。
「他人に使われるのはイヤ!」と、我が道を求め、住・商の空間デザイン業界への転身を図り、㈱アーバンシステムズ研究所を設立し、商環境デザイン設計会社の代表取締役社長となる。
会社を興すが3年間、模索と忍耐の日々が続くもめげず克服、時代の追い風を受け前進。
強い問題意識と率直な発言・提言が意外にも評価・好感を受け、クライアントとの出会いに恵まれる。
30年の会社経営は、平成合併の社会の構造変化をアゲインストと捉え法人解散を決意。
約半年後、24時間自由な日々は余りに物憂く、突如アメリカ行きを決意。
「いずれ我が道」。高齢者がモチベーションを維持し、自由な暮らしを営む集合住宅・インディペンデント・リビング(リタイアメント・コミュニティー)研究のため、3ヶ月間の体験滞在をする。
帰国後、現地の素晴らしい状況報告を重ね、国内での啓蒙に努めている。
「他人の軌道をなぞっていては、後発者にとって道はない」現役時代の座標である。

作風 和趣洋客の佇まい

山梨県早川町雨畑・硯博物館
「硯匠庵」入口
(農林水産省中山間地域活性化補助事業)
室内
 
早川町宿泊施設・ヴィラ雨畑温泉棟 「すず里の湯」外観
 
室内

~ 渋谷は私の誇り・夢に向かって一歩一歩 ~

長いこと、仕事場と住居を表参道界隈に置いて、いい時代を駆け抜けるように35年ほど渋谷で暮らしてきました。その表参道から、縁あって渋谷駅近くに拠点を移すと、街の様相は著しく違っていました。歩道橋の階段を上りながら、踏みつけられた煙草の吸殻やゴミの散乱に、華やかな街のうらぶれた侘しさを感じたものです。住む人も働く人も毎日街を使いながら、街の空間には余り頓着していません。当時、私は近隣の学校と学生たちの協力を得て沿道のゴミ拾いをしました。それがアクションの一歩であり、まちづくりに関心をもつ動機となりました。まちづくりは専門家だけでするものではありませんね。一人一人の心がけと、地域への愛着心に目覚めることが大切なんですね。
以来、ちょっと気障ですが、“素敵な大人が街を語るしぶやサロン”を運営して凡そ10年、街のあり方や夢を語り合いました。そんな中で更なる興味から「観光まちづくりプランナー塾(東京都産業労働局主催)」に参加。新しい概念に出会い目からうろこ。私はその時から“ 渋谷の 観光まちづくり” に熱い思いを馳せてきました。

~渋谷の道しるべはここにあり。ニューヨーク(NY)の奥深い魔力~

1980~90年代、しきりと私はニューヨークへ出かけました。NYの街はとても荒れていて危険の匂いに満ちていました。片方のドアを失った車がマンハッタンのど真ん中を走り、道路にゴミは散乱し、信号で車が停止すれば、バケツの水がフロントガラスに浴びせられ、びっくりしているとすかさず子供が「洗車代」といって金をせびる。夜間は外出厳禁、路地へ入っては危ない、NYに住む画家の友人が厳重に注意を喚起します。肌で危険を感じつつも、何がそれほど惹きつけるのか、NYの魔力は奥深く偉大でした。

貿易センタービル・風景 / 「今では心に残るモニュメントに・在りし日の貿易センタービルを望む」

~ クリエーターがNYの街に新しい命を ~

世界中のクリエーターたちは野心と挑戦の精神を引っ提げてNYをめざしています。いつしか低所得者層が街に溢れ、汚い怖い荒れる街へと変貌していったマンハッタン。その再生に行政の知恵が勝負をかけたのです。工場だった建物をNY市が買い上げ、低家賃でスタジオ付住居を提供し、創造への意欲をかき立てました。彼らの創り出すあらゆる分野の成果は、NYの広告塔となり全世界に情報発信をし続け、NYを訪れる人々の感性をわしづかみにしました。街の再生にかけた「クリエーターの人間バクテリア物語」です。前衛性に富むNYのDNA・新しいもの・事・人を育む懐の深さが、訪ねる人の期待と興奮を掻き立ててしまうのです。

シティーオペラ広告幕 / 大型広告幕・情報発信ツールは街をキャンパスに

明治、大正時代、渋谷には多くの若い文学者たちが文壇へのデビューを夢見て集まってきました。都会に在って自然の残るこの辺りは、家賃の安いことも幸いして、彼らにとって格好の創作の場でした。このように渋谷にも、昔から人を育む土壌があるのです。現在でも若い人たちには憧れの聖地として名高く、ファッションの世界では渋谷発のシンデレラ・ストーリーとしてその成功が海外にまで発信されています。そんな地域のDNAを温存し、オールShibuyaをあげて、もっと大胆にグローバルに、その戦略を打ち出す時がきています。

ストリートアート9 / 9west 57street 歩道に築造されたストリート・アート

~ NY魅惑のステージ性・大人の夜を彩る社交の場 ~

私がNYの虜になったのは、その魅惑力です。NYへの旅支度といえば、ブロードウェイのチケットの手配は不可欠でした。当時でさえ、NYからの情報発信は強力でした。NYには、昼夜を問わず楽しめるエンターテイメントの選択肢が豊富なこと。それも、一流からアングラまでピン~キリのエンターテイメイトの品揃えは、何度行っても目新しく飽きることはありません。昼はウインドウ・ショッピングや画廊、美術館めぐりとついつい貪欲に街を巡り歩きたくなるから不思議です。夜ともなれば、シアター、ライブハウス、ダイニング、どこもかしこもロマンが漂い夢見心地です。少しばかりめかしこんで出かけるナイトライフは、大人の夜を彩る社交の場。そこはまるでスポットを浴びる役者のような興奮と歓喜が満ち満ちています。いつしか、自身がヒロインのストーリーを描きながら、日常性を離れて味わう歓喜と充足感が「きっとまた来る」ことを約束させてしまう魅惑の力が働くのです。

「夜のお出かけは女性たちのファッション・ステージ」

渋谷は若者のまちという一面だけで語られるけれど、資質としての前衛性を携えているところはNYに似ています。繁華街のスケールはマンハッタンの比ではありませんが長寿社会に生きる人々が時間と空間とを共有し、多様性ある社交文化の再生と、享受できる機会を創造することは、渋谷的生活文化創造の追い風になるでしょう。

 
 
 
 

~ クリントイーストウッドもお気に入り西海岸・カーメルのまち ~

世界中に、素敵なまち、美しいまち、歴史遺産のまちなど、旅の写真に残された名所は多く、あげればきりがありません。そんな中で、NYとは対照的なローカルの小さな町の魅力が、私の心にいつまでも強い印象を残しています。カーメルの町は、サンフランシスコから車で約2時間。海岸線と森に囲まれた田舎町。しかし、小さくてもローカルでも、その素晴らしさは決して侮れないきらめく星のような輝きがありました。

ショッピングモール / 「緑や花がショーウインドーを飾る町」

~ 視覚に訴求する、美しいまちの顔づくり ~

まちには、たった一つのショッピングモール。幾筋か碁盤目に道路が走っています。歩いて回遊するのにさほどの時間はかかりません。路面には、軒を連ねる小さな間口の専門店が立ち並びます。生活を支える店というより、観光客相手の店が多いのも特徴です。飲食店、雑貨店、土産物店、カフェ、肉屋、カメラ屋、宿泊施設やブティックも、全ての店がほぼ同スケールのショウ・ウインドウを持っています。どの店も愛らしく美しいディプレイが目を引きます。町の皆で申し合わせたのでしょう。一瞬でわくわくするほど、心がおどりました。まちの緑や行き届いたガーデニングの花ばなと見事に調和しています。店の経営者たちの思いが同じ方向をめざし、互いに相乗効果をあげて、町全体の美しい佇まいをつくっているのです。カーメルで店を営むこと、それこそがプライドであり、町の調和を心から大切にする人々の手で、町のアイデンティティーをつくりだし、町の魅力を創出しているのです。知性と感性を如何なく発揮した素晴らしい町として、私は強い共感を覚えるのです。

カーメルの街並み / 「ストリートサインは競い合いではなく街並みへの調和を」

年間訪れる観光客は、後を絶ちません。素敵な町・カーメルは、私の心の中に今でも焼き付いて離れることがありません。俳優クリントイーストウッドは“Boar‘s Breath・イノシシの息“という、何ともユーモアにあふれた名前のInnを経営しています。地下のドライエリアはカフェテラスでくつろぎのひと時を。いつかあなたも出かけてみてください。きっと心に優しさが満ちていることでしょう。

「カーメルの佇まい・建物とショウ・ウインドーとガーデニング」

渋谷“サザンヒルズ”こんな呼び方が似合うエリアがあります。R246の南西一帯をイメージしているのですが、時代に流されることなく普遍的で、経年変化がまちに味わいを創り出してゆく、カーメルのように穏やかで美しい店が立ち並ぶ風景がとてもよく似合うロケーションだと思っています。 NYはエキサイティングにアグレッシブに、カーメルはピースフルで温かい旅を楽しむ、究極の対照性に、それぞれの持つまちの魅力を感じるのです。 美しい残像が心に残るまちは、世界のあちこちに沢山ありますが、心触れ合う温もりにもてなされたら、このもてなしに勝る魅力はないのだと確信するばかりです。 私たちは、渋谷のおもてなしを形に表し、名実ともに世界に通用する渋谷のブランド化を支えてまいります。これからも一つ一つ地道に汗を流して仲間と共に、We love Shibuya精神で活動してまいりたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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